個人型確定拠出年金(個人型DC)は、受給時に元本に対しても課税されることがわかったので、掛金拠出期間、受給時の受取方法と時期、口座開設する金融機関を検討しました。
前提として、55歳で早期リタイアするものとします。
単純化するために、運用益は考慮しないことにします。
どっちみち加入期間が短いので運用益はほとんどないはずです。
なお、以下の結論は私の場合であって、誰にでも当てはまるわけではありません。
リタイアしたら拠出は停止して運用指図者になる
掛金は全額が所得控除の対象なので、給与所得がある間は掛金を払います。
リタイアしたら所得控除できないので掛金支払を停止します。
受給時に元本にも課税されるので、元本を増やす意味がありません。
停止するには資格喪失届を提出して運用指図者になればいいようです。
49歳から55歳までの6年間、1年に14.4万円かけられるので、元本86.4万円の年金資産になります。
私の給与所得に対する税率は20%なので、この間の節税効果は以下の通りです。
掛金支払 | 864,000 |
所得税率 | 20.42% |
所得税 | 176,400 |
住民税 | 86,400 |
節税効果 | 262,800 |
受給時期をずらして税金を安くする
個人型DCは、年金として受け取る方法と、一時金で受け取る方法があります。
一般に、一時金で受け取ったほうが所得税率が低かったり、健康保険料が増えません。
一時金で受け取るばあい、私は早期リタイアするので、退職金は55歳、個人型DCは60歳以降に受け取ります。
退職金で退職所得控除を使いきるので、個人型DCには退職所得控除が使えません。
但し、退職金と同じ年に受け取らないことで、税率は5%で済みます。*1
一括受取時の税金は以下の通りです。
勤続年数 | 0 |
個人型DC一時金 | 864,000 |
退職所得控除 | 0 |
退職所得 | 432,000 |
所得税率 | 5.105% |
所得税 | 22,000 |
住民税(市民税) | 25,900 |
住民税(県民税) | 17,200 |
納税額合計 | 65,100 |
個人型DC手取金額 | 798,900 |
従って、262,800円-65,100円=197,700円がNETの節税効果になるはずです。
リタイアした後も掛金を払い続けたら、 掛金支払時の節税効果262,800円は変わらないのに、元本が増えて受給時の納税額が65,100円からもっと増えることになります。
”早期リタイアするなら個人型確定拠出年金に入るのは損”ではなく、正しくは”早期リタイアしたら個人型確定拠出年金は支払停止しないと損”でした。
もっとも、これは前提条件として運用益を考慮しないこととしたためです。
例えば、退職後も掛金を払い続けて、毎年1%以上コンスタントに運用益を上げることができるなら、節税効果はほぼ同じになります。
運用益を上げる自信があればかけ続けてもいいですが、私は自信がないので退職したら支払停止にします。
口座開設する金融機関
スルガ銀行は毎月の掛金の積立があるか、資産残高が50万円以上あれば、運営管理手数料が0円になります。
また、楽天証券も資産残高が10万円以上あれば、運営管理手数料は0円です。
どちらでも無料の条件を満たせるので、いずれかで口座開設しようと思います。
(2018/01/08修正)
楽天証券やSBI証券なら、条件なしで運営管理手数料は0円です。
スルガ銀行は、運営管理手数料270円/月がかかるよう改悪されました。
なお、国民年金基金連合会に払う103円と、信託銀行に払う64円はいずれの金融機関でもかかります。
個人型DCの加入メリット
退職金だけで退職所得控除枠を使い切る人や、厚生年金だけで公的年金等控除を使い切る人にとって、個人型DCのメリットは
課税対象額が受給額の1/2に減額されること(一時金の場合)
ではないかと思います。
退職金がない人や少ない人の場合、退職所得控除の枠を個人型DCに使えるので、受給時も課税されず、メリットを十分に享受できると思います。
(2018/11/10追記)
下記記事を追加しました。
*1:同じ年だと課税所得が増えて税率が高くなる場合がある